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08:復活のキュウビと目覚めたヌエ
レントゲンなど色々な検査を受け、麻里菜は病室で体を横たえていた。
「検査結果ですが……頭蓋骨骨折と上腕骨骨折、全身の打撲で、全治一ヶ月くらいですね」
カルテを持った女性の医師が告げた。
今、麻里菜は頭と右腕を包帯でぐるぐる巻きにされている。
「救急隊から聞いたんですが、骨折と全身打撲で本当に歩けたんですね……」
「はい。頭と腕は痛かったですけど、足はそこまでじゃなかったので」
「いやぁ……そう、ですか」
ごもっともという表情に、医師の方が引いている。麻里菜はさらに言葉を続ける。
「お言葉ですが、二日経てば骨はくっつくと思いますよ」
「えっ、何でそんなことが……」
「……治療に関わることなので言っておきます」
麻里菜は左手を額に当てた。
「きゃっ」
医師は小さく叫び、数歩後ずさりする。
「私、妖怪なんです。人間よりケガの治りが早いんです。あの……絶対に他の患者さんとか、外部の人に言わないでください」
「は、はい」
医師の顔に決意が現れると、麻里菜は左手を手を当ててもとの姿に戻る。
こんなことが話せるのは、病室が相部屋ではなく個室だからだ。
「安静にしていてくださいね」
麻里菜は個室に一人、残された。
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