08:復活のキュウビと目覚めたヌエ

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「埼玉県警察の者です。事情聴取をお願いしたいのですが、体調は大丈夫そうですか」  警察手帳を見せてきた二人に、麻里菜はうなずいた。 「名前は、小林麻里菜さんですよね」 「はい」 「ここに来る前に、他の生徒さんや先生方から話を伺いました」  えっ……どこまで話されちゃった?  麻里菜の鼓動がまた速くなった。  その後、入学式が終わった後から順に、あったことを説明していった。  男が教室の中に入ってきたこと、人質にすると言われたこと、降伏させようとしたこと、警察の勘違いで事態が悪化したこと。  そして、ここからだ。  自分が変化したことを言うべきか、言わないべきか。  他の人は言ってしまったのだろうか。  麻里菜の口が止まった。 「それで男を止めようとしたら、左肩を撃たれて、投げ飛ばされた……そういうことですか?」 「……そうです」  お願い、辻褄(つじつま)が合ってくれ……! 「やっぱりそうなんですね。でも『歯向かう奴は死んでもらう』って言われたのに、どうして止めようとしたんですか」  ギクッ……  麻里菜は少し考えてから口を開いた。 「男はそもそも、警察に変な恐怖心を持っていました。それに、『あなたが抵抗しないなら、私たち警察もそんなことはしない』って言われたのに飛びかかってこられました。男からすればうそをつかれたと言えます。しかも私を信じて降伏しようとしたのに……」  麻里菜は二人の目をじっと見た。 「信じてもらえたのにうそをつく結果になってしまったからには、私が責任を負わなければいけないって思いました。だから止めにいきました。死んでもいい覚悟で」  あとは…… 「でも、私を助けてくれた人は美晴ちゃん……高山さんしかいませんでした。誰かの勘違いさえなければ、私が骨を折ることもなく、男に罪を重ねる必要もなかったかもしれないのに……」  麻里菜はうつむいた。警察の二人は何か言いかけた言葉を飲みこんだようだった。
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