08:復活のキュウビと目覚めたヌエ

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 事情聴取の直後、夕食が運ばれてきた。利き手の右腕が使えないので、スプーンとフォークがついていた。 「ほんとは左で食べるのも痛いけど……しょうがないよなぁ。……いただきます」  コン、コン  そっと、誰かが入ってきた。 「麻里菜〜来たよぉ〜」  その姿を見て、麻里菜は目を疑った。 「美晴……ちゃん?」 「麻里菜!」  今日出会ったばかりなのに、どうして。 「よかった……普通にご飯食べられてるんだね」 「まぁ、左肩ケガしてるから左で食べても痛いけど」  美晴は涙目で麻里菜の手を握ってきた。午後七時過ぎ。面会時間ギリギリである。 「美晴ちゃんはもうご飯食べたの?」 「軽く食べてきた。今日、何がなんでも麻里菜に会いたかったから……食事中ごめんね」  そう言ってほほ笑む美晴。 「あのさ、色々聞きたいことがあるんだけど、いい?」 「……いいよ」  麻里菜は分かっていた。きっとあのことだろうと。 「……私、妖怪になっちゃったの?」  なっちゃった……か。  何か引っかかり、スプーンを置いた。  私は自分が妖怪であることを誇りに思ってるけど……。 「なっちゃった……そうかもね」  それだけ言って、またスプーンを持った。 「麻里菜のはすぐ分かるよ。キツネの妖怪だから……キュウビだよね? 私のはなに?」 「美晴ちゃんは……ヌエだと思う。タヌキの耳とヘビみたいな尻尾があったから」 「ヌエ?」  美晴はサッとスマホを取り出して調べた。 「『猿の顔、(たぬき)の胴体、虎の手足を持ち、尾は蛇』『一説には雷獣である』……こんな妖怪いたんだね」 「『こんな妖怪』が、美晴ちゃんなんだよ」  麻里菜はあえて言ってみた。 「でも、私はこれからどうしていけばいいの? 今までどおり生活できるの?」 「……それは……できなくはないけど……」  しばらく黙った麻里菜。しかし、美晴はその先の言葉を待っているようだった。 「美晴ちゃん、これから私が体験したことを言うけど、いいかな? 私が妖怪であることで起きたこと」  少しためらった美晴だったが、「分かった」と言って緊張した面持ちになった。  麻里菜は静かに話し始めた。
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