09:キュウビの過去(一人称視点)

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 ◇  ◆  ◇ 「二人のために頑張ってくれて、ありがとう」  私の傍らで、誰かが言った。おそらく、私の父だ。私は誰かの上に乗せられている。 「こうなることは覚悟していたわ。魔法使いと妖怪の子ども、宿すことすら難しいけれど、こうやって元気に生まれてきてくれたことだけで嬉しい。もう何も思い残すことはないわ」  力のない弱々しい声で、母らしき人はそう言った。 「これから……この子たちを大事に守って……。狙われているから……」
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