09:キュウビの過去(一人称視点)

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 私が二歳になるころ、里親希望の夫婦が施設を訪れた。小林さんと言うらしい。私は夫婦の前に出された。 「この子がまりなちゃんなのね」  この夫婦は二年前、待望の赤ちゃんを授かり出産したものの、生まれて一週間後、赤ちゃんの容体が急変し、亡くなったという。その赤ちゃんの名前は『麻里菜』だった。 「……あの子と顔がよく似てる。まるであの子と双子のようね。」 「ほんとだ。麻里菜とそっくり。年も同じようだし」 「そうね。この子の里親になりたい」  私はこの夫婦と一緒に暮らすことになった。 「名前は、麻里菜でいい? あの子と同じで。」 「ああ。俺もそう思ってた。」  二人は顔を合わせてうなずいた。 「よろしくね、麻里菜ちゃん。」  新しいお母さんが私の頭をなでると、新しいお父さんは私を抱き上げ、たかいたかいをしてくれた。  お母さんが聞く。 「あの…この子の『まりな』という名前って、誰がつけた名前なのですか?」 「えっと、確か……名前が分からなかったので、私たちがつけました。」 「そうでしたか」
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