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数年前の話。ある同僚と、俺は結構仲が良かった。歳が近くて、お互い酒好き。それに独身だったから、金曜の夜なんかは繁華街に行って、飲み歩いたりナンパをしたりしてた。
ある日の昼休み、その同僚からある相談を受けた。
「なんか最近、間違った宛名の封筒が届くんだよ」
「間違った?」
「ってか、完全に別人宛の。なんでもないDMばっかだけど」
「前に住んでた人じゃない?」
そいつは、アパートで一人暮らしをしていたはずだ。俺の推測に、そいつは難しげに唸った。
「最初はそう考えたんだ。でもさ、今の部屋に住み始めて、もう三年は経つ。けど、今までは一度もそんなことはなかったんだよ」
詳しく話を聞くと、最初に別人宛の郵便物が届いたのが二ヶ月前。どうでもいいようなDMだったから特に気にせず捨てたらしい。けれどそれから、週に一度くらいのペースで、その別人宛の郵便物が届くようになったという。
「住所は完全にうちなんだよなあ」
「郵便局か不動産屋か、どっちかに相談するしかないかな」
「やっぱりそうだよなあ」
そいつは何度も首を傾げたが、その日は納得した様子だった。
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