プロローグ

2/3
前へ
/532ページ
次へ
「あん、ああっ、いいよぉ…」 「はぁはぁ…」 「……」 ベッドが軋み、肌が激しくぶつかり合い、欲に溺れた甘い声… 「あ、あっ!イク、イっちゃ…」 「ううっ…」 「ああっ!好き…」 隣の部屋が静かになったら、布団から顔を出した。 あんな声と音を出して、俺が気付かないとでも思っているのか…? 10歳の頃に父親が亡くなると、母親は俺が寝る時間になると頻繁に男を家に招き入れ、身体を重ねるようになった。 初めは好奇心から覗いていたが、違う男と絡み合う母親に嫌悪感を抱き、やがて布団を被ってやり過ごすようになった。 (あれだけ父親の事が好きだったのに、亡くなったらこれか…) まだセックスなんて知らない10歳の俺には、その行為が汚らしいものと思えて、性というものに嫌悪感まで抱くようになった。 (早くこの家から出たい…) この欲望に塗れたこの家から出ていきたい…
/532ページ

最初のコメントを投稿しよう!

989人が本棚に入れています
本棚に追加