私が泣いた理由

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「腹、減ったなぁ〜」 いつからだろう…そうだ、あの日からだ… 世の中がおかしくなったのは。 隣国と協定を結んだ翌日に、奴らは攻めてきた。 アイツの所為だ。 ヤツが大統領になってから、戦争して分裂した隣国をやたらくっ付けたがった。 マスコミもヤツに騙されて、隣国と仲良くするキャンペーンをやり始めた。 国民も騙されだした。 私も、そうだった…。 居間に強制的に貼らされた肖像画が目に入った。 「@#/&&?(太った豚野郎が!)」 空腹にイライラして、独り言を呟いた。 ドカッ、ガシャ、ドドドド… ドアが破られ、兵士が入って来た。 「痛いっ」と感じる間もなく、私は宙に浮いていた。 そうか…「独り言禁止令が昨日発令されたんだった」 どこかに盗聴器が仕込まれてたんだろうな…。 穴だらけになった私の身体を見ながら、ゆらゆらと天に登っていく。 私は、涙を流している事に気が付いた。 それは、この世の未来を悲観したからなのか? それとも、私の遺体を取り囲む、貧乏しい兵士が痩せ細っていたからなのか…?
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