第一章 私は私が大嫌い

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二時間目。体育の授業だった。私は七生と陽果と体操服を持って更衣室に行き、着替えて体育館に整列した。 私の学年は三クラスに別れていて合計すれば八十八人。住んでいるところが田舎の方だからか、人数としては少ない方。 そして小学校が一緒だった人達も多くて、それは人数の大半をしめている。そのことからか、何も小学校と変わっていないように時々感じる。 「さて、今日の体育はバレーです。六人チームでどんどん試合をしていくのでまずはチームを組んでください」 体育の先生の指示で私達は六人グループに別れ始める。私はというと案の定、七生と陽果と一緒だ。それと運動が得意そうな二人と苦手そうな人が一人。 チームごとに並んでいると、美華吏が私の視界に入った。特に仲の良い男子達と組み合っていて美華吏自身もこれから自分達ができるバレーの試合にわくわくしているよう。 私はバレーが好きかというと、嫌いではない。とはいえ、別に好きでもない。運動音痴じゃないし、球技も得意ではないが苦手でもない。最終的には何とも表せれないが、いたって普通というところだ。 チームごとに並び終えると、先生が独断でトーナメント表をホワイトボードに書き、それにそっての試合が始まった。 ボールを打つ音だけが体育館に響く。それはどれも力強い音で聞いているだけで心地よい。 私もただやらされているだけのバレーをめんどくさがりながらもボールを打った。 その試合が終わって休憩をしていると、体育館後方から歓声が聞こえた。 「もう一本!」 「やってやれー」 クラスの人が口々にそう叫んでいた。 すると、サーブを打ち始める人がいた。それは紛れもなく美華吏の姿だった。 美華吏は力強くボールを打ち、その打たれたボールは目にも止まらぬ速さで床に叩きつけられるように打ち付けられた。 私はその様子に一瞬で心を奪われたのであった。 あとから聞いたことだが、美華吏は前の学校でバレー部のエースを務めていたらしい。それにしてはプロに近い動きをしていた。 彼は一体、何者なのだろうか。
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