仕方ない

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「行こう。信号変わったから」 「おう」 私達はまた走り出す。学校に向かって一直線、目的地まではもうすぐだ。 教室に入ればHRの始まりを告げるチャイムが鳴るのと同時だった。 幸いのことに担任の浜崎先生はまだ来ていなく、私達は一安心してからゆっくり息を整える。 「セーフセーフ」 「もしかして寝坊?」 そうクラスメイト達は言いながら美華吏に近づいてくる。 私は自分の近くに人がいっぱいいるという状況は慣れてないので逃げるように自分の席に向かった。 「おはよー」 陽果が元気よく挨拶をしてくる。 すぐに挨拶を返そうとすれば 「遅い。遅刻当然だよ」 七生が笑いながらそう言った。 「いやいやセーフだって」 先生はまだ来てないから。 ガラガラ。 教室の引き戸が開く音がする。 「はいはい、みなさん席に着いてー」 そう言って浜崎先生は教室に入り、教卓に立つ。 その声でみんなはだんだん席に着き始めた。 私も鞄を机の横に置き、頬杖をつく。 「そろそろお待ちかねの期末テストが近づいてきました」 浜崎先生は少し楽しそうな口調で言った。 期末テストなんて誰も待ってるわけがないと思いながらも私はいつも持ってきている本を開け始める。 「ということで、範囲表を配りまーす」 浜崎先生はさっきと同様、楽しそうにそう言って範囲表を配り始めた。 配られた範囲表にはそのテストまでにやってくる提出物が教科ごとに書いてあった。 幸いなことに得意としているところがあったので胸を撫で下ろす。 それでももちろん、テスト勉強はしない。理由はひとつ。めんどくさいからだ。 私はその範囲表を受け流して本を読み始めた。
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