第二章 突然

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どれぐらい時間が経っただろうか。気づけば時刻は十二時を回っていた。 震えや落ち着きがないのもなくなり、私は静かに保健室をあとにした。 寝る前に見てしまったあの状況が嘘や見間違いであることを祈りながら。 教室に戻れば騒がしくなっていたクラスメイト達が静寂になる。それからひそひそと話始める。 寝る前と何も変わっていない状況だ。 また全身は震えと恐怖に包まれる。 私はおそるおそる自分の席に向かった。 すると、 どうしたことだろうかと私は目を見開く。 机に置いてあった筆箱も鞄も跡形もなく、なくなっていたのだ。 どこかに置き忘れたかといえば、そんな覚えはもちろんない。誰かに盗まれたとか、そう考えるのが合理的だろう。 七生と陽果はというと、教室にはいなかった。昼休み中ということもあり、どこかでお弁当でも食べているのだろう。 そう考えると、仲間外れにされたような気がしてさらに恐怖が増した。 美華吏はというと、心配そうにこちらを見ている。 そのことに胸がドキリと鳴った。 幸いなことに美華吏の周りには誰もいなくてそれが逆に異様に感じた。 一体、どうして数日のうちにこうなってしまったのだろうか。 私は頭の中にクエスチョンマークを浮かべながらも、仕方なく鞄を探しに行った。 鞄がなくなったとか母にばれたら、ごちゃごちゃ言われそうな予感しかしないからだ。 とはいえ、どこにあるのかもわからない。 だからといって助けを頼むわけにもいかない。 こんな状況では助けてくれる人はおろか、気にかけてくれる人すらもいないだろう。 私はため息をつき、手当たり次第探すことにした。 時間をかけて隅から隅まで探し混む。 こっちにもない。あっちにもない。ここにも……ない。 私はため息をついた。 一体どこにあるのよ?全然見つからないじゃない。 さすがにこんなことをしているのもうんざりしてきて、私はその時にいた音楽室の前で座り込んだ。 もうとっくに昼休みは終わっていて、今は五時間目が始まって三十分経ったぐらいだ。 「なぁ、清加」 ふと誰かに声をかけられて私は顔を上げる。 すると、鞄を肩にかけている美華吏がいた。 おかしい。今は授業中のはず。なのに、どうして…………? 「鞄、探してたんだろ?あと筆箱と上履きも」 美華吏はそう言って私の近くに鞄と筆箱と上履きを置いてくれた。 その姿を見て私は頭の中がむしゃくしゃする。 元からダメな人間なんだから放っておけばいいのに。探してくれなくたっていいのに。
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