第二章 突然

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翌日。 朝の眩しい日差しで重たい瞼を開けば、厄介なことに直ぐ様ひどい頭痛が襲ってきた。 体も重くて起き上がるのにも一苦労だ。 きっと昨日のストレスとかが体調に影響を及ぼしているのだろう。 そう思いながらカーテンから差し込んでいる日差しを見る。それはいつも心地よいのだけれど今日は憂鬱に感じられた。 今日はさすがに学校、行きたくないな。 そう思っても受験生なのだから学校を休むわけにもいかない。 私はなんキロもある重りを足首にくくりつけて、それをひぎずっているように重たい足を無理矢理動かして身支度をし、学校に行った。 靴箱に行けば、やはり上履きはまたなくなっていた。 私の心に凍てつく様な風が吹き込んだ。 季節は冬でもないのに、身体が寒さに震えて、私は私自身の身体を抱き締める。 その小さな暖かさが、自分をこの世界に繋ぎ止めているかの様で、ひどく頼りない気持ちになった。 それから昨日、美華吏が私の上履きを見つけてくれた時のことを思い出す。 どこにあったのか聞いてなかったな。 私が隅々まで探しても見つからなかったのに、美華吏は授業中なのに探してくれて、私の所に持ってきてくれた。 きっと私も探そうとはしなかった予想外の所にあったのだろう。だとすれば思い当たるのは屋上だけだ。 実際、昨日は屋上なんかにあるわけないって室内ばかり探していた。だからきっと屋上にあるのだろう。 私はそう思いたって屋上に向かった。 足がもつれそうになりながらも階段を一階から屋上がある四階まで一気にかけ上がる。 靴下で上がっていたので滑りそうにもなったけど、やっとのことでたどり着いたというところで足が止まる。 厄介なことに今いる屋上へ行ける出入口には、立ち入り禁止という貼り紙があった、赤コーンが置かれていた。 とはいえ、今思い当たるのはここだけ。だから私は赤コーンを無視して屋上へ出た。 真っ先に広がる青い空。登校していた時に見たのとは違って雲は一つもない。 そして秋の心地よい風。それが私の頬を撫でていく。 私はここに生きているんだって当たり前のようなことを思った。 屋上に手すりはなかった。だから出入口に赤コーンが置かれていたのだろう。 私は屋上を見渡す。 私の上履きは見当たらない。ただ隅っこにゴミ箱がぽつんとあるだけ。 まさか…………。 私はそのゴミ箱を覗きこむ。すると、私の上履きが無造作に捨てられていた。 寒気が私の体をまたもや襲ってくる。 きっと昨日もここにあったのだろう。
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