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いっそ
数日後。最近は相変わらず鞄や上履きや筆箱が盗まれるばかりだ。
美華吏に聞いてみればやはり佳奈達の仕業だったらしい。
捨てられている場所もころころと変わり、頭が混乱することもある。怯えることもある。けれど毎日、いじめられたままで全然いいって自分に言い聞かせて今も穏やかな心を保っている。
そんな中で迎えた期末テスト前日。涼しくなってきて、一週間前から制服も衣替えした。
めんどくさい提出物は既に終わらせている。美華吏との数学の勉強はというと、ちょっと心配なところだ。
今日も私は図書室に行く。すると当たり前のように美華吏がいた。相変わらず真面目に勉強できる姿が私には羨ましく見える。私だったらすぐめんどくさいって逃げてしまう人だから。
最初の三十分ぐらいは貸し出しカードを出しに来る人もいるので、本を読みながらその管理をし、二人きりになったら勉強会を始める。これがいつしかルーティーンになっていた。
「明日のテストは大丈夫?」
美華吏に数学を教えている途中、さりげなく聞いてみた。
美華吏が苦手としているところは図形と連立方程式などの難しい計算だ。
呑み込みも教え始めた時には遅すぎる方だったけれど、今では少し遅いになっている。でもまだ心配だ。受験もあと四ヶ月ぐらいで、あっという間に来てしまうから、せめて半分は点数をとって欲しいところだ。
「提出物、終わってねぇ」
美華吏は苦笑いをしながらそう言った。
本当に明日は大丈夫なのだろうか。余計に心配になる。
「どれなの?教えれる所なら教えるからさっさとやろう」
「おう。ありがと」
美華吏はそう言ってから持ってきていた提出物を出して長机の上に置く。
それは国語のワークでどうやら文法の所だけがわからないらしい。幸いなことにここも私の中では得意分野だ。
私が問題を解くヒントをあげて、最終的には美華吏自身が答えを出す。呑み込みは少し遅い方だけれど、数学をやってる時よりかは、少し早くなっているような気がする。
終わる頃には時刻が六時になっていた。ちょうど完全下校しなければいけない時間だ。
「そろそろ帰ろっか」
「おう」
そうして私達は図書室を後にした。
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