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「ほら、大丈夫って言ったろ?」
そう言って美華吏は手を握り返してくる。
ドクドクという鼓動が耳にまで聞こえてきた。
佳奈達がただ、上履きを盗むのを忘れただけかもしれない。けれどいつもと違う靴箱を見るだけで、私の心は温かくなった。
教室に入れば、途端に繋がれた右手が解放される。そのことに不思議と寂しさを感じた。
ざわざわとしていた教室は、いつものように静かな雰囲気に包まれる。それからまた、ヒソヒソという話し声が聞こえてきた。
体はまた恐怖に襲われる。私は美華吏から言われた、大丈夫という言葉を自分に言い聞かせながら、ゆっくりと自分の席についた。
陽果と七生は当たり前のように今日もいない。
二人の席に鞄は置かれてあったので、どこかで楽しそうに話でもしているのだろう。
そう思えばまた、肌寒さを感じた。
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