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「ねぇ、清加。昨日の話で伝え忘れていたことがあるの」
その日の夕食後。母が唐突に言ってきた。
昨日の話……。きっと私が今までめんどくさいで何事からも逃げてきたことだろう。
「めんどくさいって言ってたら、いつまで経ってもできないわよ。めんどくさがらずにやれば、きっと何でもできるようになるから。今の清加、もったいないよ」
母は真剣な顔でそう言った。
めんどくさがらずにやれば、何でもできるようになる?
そんなわけない。私は元から何をやってもダメな人なのだから。
確かに今の自分は、未来への可能性を自分で打ち消してばかりいるから、もったいないと言われても過言ではない。
いつまでもこのままではダメだとはわかってはいる。
だけど……。
「そんな保証がどこにあるのか、わからないって顔してるね」
そう言って母は私の頬を人差し指でつつく。
全くもってその通りだ。過去に家事ができていたという話なんかあるもんか
って過去?
心の中でそう思った途端、恐ろしいほどの寒気を感じた。
この感覚は一体____。
「それはね、過去にあるのよ」
私の過去?
頭をぐるぐると回って記憶を辿った。
しかし、どうしたことだろうか。
小四の頃の記憶とその前の記憶も、まるで空白の答案用紙を見ているかのように、何も思い出せない。
どうして……?
「教えて、母さん。過去の私はどうだったの?」
「それはね……」
そう言って母は私の過去について話始めた。
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