第四章 空白

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「今回のテストの平均点と最高得点を発表します」 そう言って先生は黒板に白いチョークで数字を書き始めた。 もちろん平均点は余裕で超えていた。そして最高得点も今回は私の点数だった。 いつも真面目で頭がいい七生と、ライバルのように点数を争っているから、心配だったのだ。 私はもう一度、小さくガッツポーズをし、それから筆箱から赤いボールペンを取り出した。テストを返してくれた時に貰った模範解答を見ながら見直しをする。 とはいえ、間違っているのは五十問中たったの一問だけだ。しかもとてもおしい。 それは輪という漢字の部首をごんべんにしていたことだ。確かにそういう漢字もある。だけど答えにはあっていない。唯一幸いなのは七生より上の点数をとれたことだ。 そのあとも授業が続いた。気温は暑いし、蝉の声もうるさいしで集中が途切れそうになることもあったけれど、真面目にノートをとった。
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