第四章 空白

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「ねぇねぇ、清加。テスト何点だった?」 休み時間。七生がくいいるように聞いてきた。 「このクラスの最高得点とっちゃった」 私はドヤとでも言うように答案用紙をちらりと見せる。 「こりゃ負けたわ。ま、二点差だけどね」 七生は苦笑いをしながらそう言った。 私はあぶなと思いながら、鉛筆を筆箱の中にしまう。 「二人ともさ、なんでそんなにとれるの?私なんか三十点よ」 陽果は困ったようにそう言った。 確かに天然な陽果にとっては、難しいテストだったかもしれない。それにしても今回は悪い点数の方だ。いつもは五十点ぐらいのはずなのに。 「どこ間違えたの?」 「それがさ、十問くらいは部首間違えであとは空白にしてたりしてなかったり。あと全然違う漢字書いていたり」 陽果はそう言いながら、答案用紙を見せてきた。 明らかに空白が多い。勉強はしたのか問いただしたくなるほどだ。とはいえ、私は昨日テストに出そうなところを、見返しておいただけで九十八点を出している。つまり問いただせる立場ではない。 「次、頑張れ。それとも私、教えようか?」 「お願い」 陽果はねだるようにそう言う。 「あっ!私も」 「俺にも教えてくれ」 私達の様子を見ていたクラスメイトがそんなことを言ってくる。 私は人に勉強を教えていることが多い。特に算数では毎回満点をとっているからか、教えてと頼んでくる人が多い。 そのおかげなのか私は相変わらず、猫の手を借りたいほどの人気者。別に迷惑とか思ったことはない。自分にも相手にも頭が良くなるというメリットがあるからだ。 「了解。先着順だから陽果からね」 私はそう言ってから、陽果に国語を教え始めた。とはいえ、漢字はとにかく書くことが一番大事である。だから私から教えることはあまりない。頼んでくる人達も、どうしてそうしてくるのか、わからなくなるほどだ。
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