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「ねぇねぇ、清加。テスト何点だった?」
休み時間。七生がくいいるように聞いてきた。
「このクラスの最高得点とっちゃった」
私はドヤとでも言うように答案用紙をちらりと見せる。
「こりゃ負けたわ。ま、二点差だけどね」
七生は苦笑いをしながらそう言った。
私はあぶなと思いながら、鉛筆を筆箱の中にしまう。
「二人ともさ、なんでそんなにとれるの?私なんか三十点よ」
陽果は困ったようにそう言った。
確かに天然な陽果にとっては、難しいテストだったかもしれない。それにしても今回は悪い点数の方だ。いつもは五十点ぐらいのはずなのに。
「どこ間違えたの?」
「それがさ、十問くらいは部首間違えであとは空白にしてたりしてなかったり。あと全然違う漢字書いていたり」
陽果はそう言いながら、答案用紙を見せてきた。
明らかに空白が多い。勉強はしたのか問いただしたくなるほどだ。とはいえ、私は昨日テストに出そうなところを、見返しておいただけで九十八点を出している。つまり問いただせる立場ではない。
「次、頑張れ。それとも私、教えようか?」
「お願い」
陽果はねだるようにそう言う。
「あっ!私も」
「俺にも教えてくれ」
私達の様子を見ていたクラスメイトがそんなことを言ってくる。
私は人に勉強を教えていることが多い。特に算数では毎回満点をとっているからか、教えてと頼んでくる人が多い。
そのおかげなのか私は相変わらず、猫の手を借りたいほどの人気者。別に迷惑とか思ったことはない。自分にも相手にも頭が良くなるというメリットがあるからだ。
「了解。先着順だから陽果からね」
私はそう言ってから、陽果に国語を教え始めた。とはいえ、漢字はとにかく書くことが一番大事である。だから私から教えることはあまりない。頼んでくる人達も、どうしてそうしてくるのか、わからなくなるほどだ。
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