第五章 空白2

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母は椅子に座り、緑茶で一服をしていた。 「母さん。聞いてもいい?」 「なんか、悩み事?」 母は穏やかな口調でそう言う。 「さっきね、アルバムを見てたんだ」 「懐かしいわね。ひょっとしてこの前の記憶の話を聞いて見たくなったのかしら?」 母はそう言って優しい笑みを浮かべた。 正確には美華吏が言った"あの場所"を探るためにアルバムを見ていた。 でも母が美華吏のことを知ってるわけないよね。血の繋がった家族でもない、ただのクラスメイトなんだもの。 「うん。そのことなんだけどね、小四の時の写真もその前の写真もなかったんだ。なんか知らない?」 「残念ながらね、父さんが私と離婚してこの家を出ていく時に、持っていてしまったのよ。本当、最悪よね」 母はため息をついてから言った。 まさか浮気していた、父が持っているとは予想外だ。でも幼い頃、父とはよく遊んだことを覚えている。旅行にも連れていってくれたっけ。 「どうして?」 「わかんない。いつの間にか無くなってたから。気づいたときにはもう、完全に父がでて行ったあとだったから」 母はまたため息をつく。 そんな……。 私はアルバムを見て"あの場所"の正体を自分で見つけ出したかったのに。 これじゃたどり着けない。でも他のきっかけといえば……。
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