"あの場所"

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私の鞄と上履きと筆箱を盗まれた時は、授業中にもかかわらず、見つけ出して途方に暮れていた私のところに持ってきてくれた。そして慰めの意味でピアノであの子守唄を弾いてくれた。 懐かしさと安らぎを感じたのは、母が作ったからとそれを美華吏が弾いたからだと思う。 私が自殺をしようとしていた時には、私の長所を教えてくれて、灰色に染まっていた私を救いだしてくれた。 あのまま私が自殺していたとしたら、過去に優等生な自分がいたとは気づかなかっただろうな。 そして美華吏の正体についても、思い出せなかっただろう。 だからこれからは美華吏に感謝して、記憶喪失だった私をここまで育ててくれた母に恩を返していこう。 それが今の私にできる一番のことだと思うから。
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