最終章 未来に向かって

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七年後。私は大学を出て、はれて数学教師となった。 あれから陽果は音楽にはまり、幼稚園の先生になったんだそう。一方で佳奈は地域の人達のためにイベントを企画するイベントプランナーの道へと進んだ。 そして美華吏はというと、近所にバレークラブをつくり、そこでバレーを子供達に教えている。 今日から新しいクラスの担任と数学の授業を受け持つことになる。 数学教師になってからもうすぐ一年が経とうとしている中、私が受け持つことになったクラスは受験生だった。 これは私の教え方がいい評価を受けた結果なのだろうか。確かにこの一年、生徒からは人気の先生ではあった。時には悩み相談も受け付けてその解決に向けて行動したこともある。そして先生同士での仲も良く、頼れる新人として親しまれていた。 うまくできるかわからないけれど、頑張ろう。 私は深呼吸をして、新しく受け持つクラスの教室へ入った。 「では、今から数学の授業を始めます」 私がそう言うと、生徒はぞろぞろと自分の席から立ち上がる。 その中に一人、つまらなそうな顔をしてめんどくさそうに立ち上がる少女がいた。 窓の外を見てみればどんよりとした曇り空が広がっていた。 なんだか記憶を思い出す前の私と似ているな。 私はそう思いながら、微笑みを浮かべた。 今の私を空模様で例えれば、迷いなく快晴と言うだろう。自分で言うのもなんだが、時々日記に友達の愚痴を殴り書きしてストレス発散をしている、頼りがいのある数学教師だ。 私の新たな日々はここから始まる。                                                                        完
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