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「総選挙」とは、年に一度行われるいわゆるΩの人気投票である。上位の者ほど多くのテレビ番組への出演など露出が増える仕組みになっている。そしてこの投票で最下位になった者は、養豚場に行くことになるのだ。だから、労働成績の優秀な者の中には好きなΩのアダルト動画を見たいがためにあえて好きなΩ以外への投票を行う者もいるらしい。が、実際のところ目にできるのはごく一部の人間だけだから、普通に好きな子に投票するのが通例だ。
「でもその割に学生時代好きだったベティのアダルト動画ばっか毎回もらってんじゃん」
「そ、それは! 仕方ねえよ! 正直めちゃくちゃヌけるし!」
俺が唯一観た動画は、オリヴァーに推されて観たベティの動画。発情期の時のものと聞いたので、一応こういう感じかと参考資料として観ただけなのだが、「性感調教~乳首でイク淫らな身体~」とかいうちょっとアレなやつだった。
「エイクはぜんっぜん、Ωに興味ねえよな? そういう意味でお前もブレないっていうか……まあ結構変な奴に絡まれるからかもしんねぇけど」
「……はあ、それな」
少し他のβよりも見た目がいいというだけで、性的な目で見られることが多かった。工場長もその一人だが、街を歩いていても、目の色違うやつに付き纏われたり暗がりに連れ込まれそうになったりする。当然俺も馬鹿ではないから、そいつら全員返り討ちにしてきた。具体的には顔面をぐちゃぐちゃにして腕か脚かどこかしらの骨をへし折る。ベストは再起不能になるまで股間を蹴ることだが、まあ流石に相当なことをしない限りはそこまではしない。
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