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④
ユンと出会ったのは十年前。俺が基幹学校の二年生、十三歳になった頃だった。
俺は機械のこともそうだが、色々なことに興味があった。勿論、αについても興味の対象だったが、街で見かけるαは街の秩序を守る一方傍若無人に振る舞っていたので、他のαを知りたいと俺はブロックⅡのαの居住地区にある中高等教育学校に近付いた。
辺りを見回し高い塀をよじ登ると、広い芝生のエリアと遠くに校舎が見えた。そして、そこには同世代のαの子供たちが居て、何か格闘技のようなことをして遊んでいるようだった。その時はちょうど昼休みの時間だったのだろう。
「おい、あそこに誰かいるぞ!」
と、遊んでいた集団の一人が俺に気付いて声を上げた。慌てた俺はバランスを崩し、あろうことか敷地内に転落してしまった。
「こいつαじゃない!」
「え? じゃあΩ?」
「そんな訳ないだろ、βだよ!」
同じくらいの子供たちにあっという間に周囲に囲まれる。
「なんだβか。綺麗な顔してるからΩかと思った」
「Ωだったら、高等に上がる前に予行練習ができたのにな」
何の話をしているのか分からないが、とりあえずこの子供たちは、街で見かけるαの大人を幼くしただけの存在なのだと直感した。きっと、このままでは恐ろしいことが起こる。
「何してるんだ、お前達」
と、俺を囲んでいる集団の後ろから頭一つ大きな少年が現れた。そして俺を見下ろして「誰だ、こいつ」と眉根を寄せる。
「先輩! こいつβのくせに学校に侵入してきたんです!」
「β?」
「Ωって独特の匂いがするんですよね? こいつは特にしないのでβかなって」
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