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「うふふ、そう言うと思ったよぉ! 向こうにあるから行こうか!」  工場長に汗をかいた掌でがっちりと手を握られて引っ張られる。ぬるぬるとした感触が気持ち悪すぎるが、しかしいつでも笑顔で、たまに工場長に色目を使っておけば、こうやって度々特別扱いを受けられる。しばしの辛抱だ。  工場の出荷用の倉庫の床に、ビニールシートに覆われたものが置かれていた。工場長がそれを捲ると、大型の機器が目の前に現れる。 「す、凄いです! これ、何に使う部品なんですか?」  隙を見て、さっと工場長の手を振り払い機械に飛び付く。 「さあねぇ。城から来た設計書通りに組んだんだけど、かなり大きな機械を同時に多数動かせる何か、としか……あ、最近城の機械も老朽化してるみたいで、取り替えのために各部品工場に発注がたくさん来てるらしいよぉ?」  パッと見た限りだと、複数の制御装置が組み込まれていて、今まで見た組込機器の中で一番複雑で巨大だ。装置一つ一つを調べれば、何の機械に取り付けるものか分かるかもしれないが、それには── 「……一部分解して拝見してもいいでしょうか?」 「えー! ダメだよ! 明日の朝には納品しなきゃなんだから!」 「そこをなんとか……! 必ず朝には元に戻しておきますし、残りの機械の点検もしっかりしますので!」  工場長に必死に追い縋って懇願すると、「どうしようかなぁ」と言いながら、工場長が俺に身を寄せてきた。かと思うと、俺の尻をいやらしい手つきで撫で回し始めた。
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