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と、ユンは空になったコップに酒を注ぐ俺を見て苦笑する。
「明日休みだし! それにぶっ倒れたらユンが介抱してくれるしな?」
そう言ってユンに甘えるように凭れ掛かると、「もう酔ってる? しっかりしてよ」と困ったように笑って俺を真っ直ぐ座るように押し返した。
人工肉を貪りながら、今度は味わって一口だけを口に含む。焼酎のラベルには「純麦」と書かれていた。そりゃ美味いわけだ。
「もうここにもあまり来れなくなるなぁ」
ぽつりとユンが呟く。「あまり」と言ったのは、彼の優しさだろう。
士官となるユンは、城に配属されることになる。つまり、城の極秘情報を知ることになるのだ。外部に漏れることを避けるため、許可が無い限り城外に出ることを制限される。
そして──やがていずれかのΩと番になる。それは、αの中でもエリートでアダムの直系血族であるユンにとって、当然のことだ。βである俺が、一生労働者として生きることを定められているように。
「城の人間に虐められても泣くなよ! もう慰めてくれる友人は居ねえんだからな!」
「その心配は要らないよ。僕泣いたことないから」
涙のように二つ左の頬に黒子があるのだが、そこに一生分の涙を置いてきてしまったのかもしれないと思う。かつて上級生のしごきに遭った、と腕の骨を折っていた時があった。きっとそれだけではなく、俺の知らないところで辛い目に遭っていただろう。しかしユンは涙どころか、「今度は上手くやるから心配しないで」と笑った。
「エイクこそ、僕に会えないからって泣かないでね」
「泣くかよ、ばーか!」
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