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 そして、腹の奥から感じる言いようのない鈍痛──いや、違う、痛いんじゃない、これは──。  男達の怒号と嬌声が聞こえてきて、身体を引き摺りながら木の陰から出た。そして目にした光景に絶句する。  先程まで隊列を組んで整列していた男たちが、舞台の下に居たΩ達を犯していた。そして独り占めしようとして、殴り合っていたのだ。 「なん、だ……これ……」  目に余るほどの淫靡で醜穢な姿に思わず、声を出していた。全身が燃えるように熱く、息も荒くなって脚に力が入らず再び座り込む。自分の身体に起こった突然の異変に混乱し、そして腹の奥にある熱源から湧き上がってくる感覚に、まともに思考することさえできない。 「こんなところにも隠れていたのか」  突然自分の上に覆い被さってきた影に、そのまま押し倒される。  訳が分からなかった。だが、目の前にいる男の、呼吸を荒げ、にやついた顔で頬を上気させた姿を見て、一瞬で理解する。十年前の少年と、同じだ。 「やめ、ろ……!」  暴れようとするが全く身体に力が入らない。少し手足をばたつかせただけで、男にあっさりと俺のズボンと下着を膝の辺りまで下ろされる。そして、男は自分のズボンを下ろし、いきり立った肉棒を取り出した。 「……ん? これは一体──」  次の瞬間男の身体が勢いよく吹っ飛んでいった。かと思うと、俺の身体が宙に浮いていた。 「エイク、怪我は? 大丈夫?」  聞き慣れた声──俺は頭が真っ白になりながら、呆然とその声のする方を仰ぎ見た。その声の主は、確かに、俺の愛しいユンベルト・フォルスターだった。
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