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 護身用にと作ったものの、あまりにも電流量の調整が難しく一瞬で気を失うほどの電流が流れてしまうので、とりあえずソファの辺りに置いてそのままになっていた。 「良かった……! 流石エイク!」  廃棄物処理場を通り過ぎるのが見えた。そろそろ廃工場――秘密基地に着く。 「着いたよ、エイク! 身体が辛いだろうけど、どうか武器を取って……!」  入り口から少し入ったところに下ろされる。肩を上下させて、苦しそうに息を切らすユンを横目に、逃げるようにソファまで何とか脚がもつれそうになりながら辿り着いた。そして、ソファの脇に置いてあった棒を手に取り、振り返る。  ユンが俺の前に立っていた。苦しそうに顔を歪ませて、しかし俺の手にある武器を見て安堵するように微笑んだ。 「……できない」  棒が、俺の手から落ち、からんと音を立てて転がった。 「お前を傷付けるなんて……俺ができるわけ、ねえだろ……!」 「っ……エイク……!」  ユンが俺の両肩を掴むとそのままソファに横倒しにされる。そして脱がされかけていたズボンと下着が取り去られた。 「ごめん、エイク……こんなことしたくないのに……!」  ユンの手が俺の片足を掴むと、自らの肩に担ぐように引っ掛け、脚を拡げさせる。俺は誰にも知られたくない「秘密」が、そこにあることを思い出した。 「ユン、見るな……見ないで、くれ……」  露わになったそこを見たユンの顔を見上げながら、俺はユンと恋人になろうと思わなかった最大の理由が、俺自身の欠陥にあると改めて思わされた。 「……エイク……君の肢の間にある、これは……何?」  ──俺には、二つ「秘密」がある。一つは、親友のユンベルト・フォルスターを愛していること。  そしてもう一つは──俺には、女性器がある、ということ。
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