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その上、麦と大豆からバイオ燃料や紙なども製造できた。燃料も確保され、更にバイオ燃料からはプラスチックを製造、俺達の工場で生産している組み込み機器も大部分がプラスチックで作られている。鉄は城の周辺の地下で採取されるものがあるが、あと百年ほどで枯渇すると言われているから、回路や配線部分にしか使われない。
こうして資源を得ることができ、辛うじて命を繋ぐことができた人類にとって、最終命題は「どうやって子孫を残すか」ということだった。
生き残った女性の中で卵巣の残っていた者から採取した卵と男性の精子から、受精卵を作ることはできたそうだ。まだまだ資源が乏しい状況ではあったが、子宮を模した羊水の中で初めての子供が人工的に作られた。しかし、成長過程でその子供が女性であった場合、ウイルス感染により亡くなる事例が多発。遺伝子の研究をしていたジョン・ステイシーなる人物によって、精子の中でY染色体を持つものだけを選り分けて受精させるようになった。そうして女性は生まれなくなり、百年以上前に絶滅した、とされる。
更にステイシー教授は人工的に受精させ人工的に成長させた者のうち八割が健康面に問題があることを指摘。記録によると初年度に誕生した子供十名のうち四名は一年と経たず亡くなり、三名は五年以内に亡くなっている。最長の者でも十一歳だった。
試験管ベビーからの脱却を図るため、教授主導のもと、男性の遺伝子に変異を起こし、腸管を変形させて疑似子宮と卵巣を作る研究が行われるようになる。これが、後にΩと呼ばれる存在である。
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