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わがままを聞いてくれる遥輝が好きだった。
いつも心地よかったし、楽だった。
だけど、その感覚はもしかしたら、自分だけのものではないのかもしれない。
そう感じた瞬間から、心の奥に芽生えてくる黒い雲のような感情を、何と呼べばいいのだろう。
自分ではない誰かに優しくしている遥輝を、見たくないというこの感情を。
周は立ち上がり、ぼんやりと窓の向こうの景色を見た。
いつの間にか、ガーちゃんがすりすりと足元にまとわりついてきていて、白いカーテンが小さく揺れた。
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