堕ちる

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 柳がしだれ、ライトアップされた石造りの橋と相まって綺麗だった。  よれよれと頼りなく歩むわたしを、幾度と篠原さんは支えてくれた。 「だいぶマシになった? 戻ろうか?」 「やです。もうちょっと歩きましょ?」  わたしは、さっと篠原さんの左手を握った。避けるようにした篠原さんは、仕方ないというように、握力を使わずただわたしの手に添えた。  ところどころに足湯があり、くるぶしまで二人で浸かる。顔を見合わせ、笑った。飲湯場という温泉を飲める場所を見つけ、押し付けあいをしながら、結局二人で一緒に飲んだ。とても美味しいものではなかったけれど、美味しかった。気づくと、篠原さんの左手がわたしの右手を掴んでいた。優しい握力を感じた。  宴会が終わってたら、さすがにまずいね。  どこか裏から入れるところ、ありますかね。  くすくすと笑い合い、わたしたちは、おそらく酔いも手伝った恋に落ちていた。  二泊三日の旅行中、人目を忍んでは、篠原さんと目を合わせた。目が合うと二人だけのサインのように口角を上げた。  この慰安旅行だけの羽目を外した時間だと、そう篠原さんが思っていたのなら、これから篠原さんに罪を負わせたのは、わたしだった。
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