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「お前なら、どっちがいい? 俺の名字にすんのと、別々と」
「んー……。おれは……」一瞬だけ空を仰いだ顔は、「……って! おれがヒロの籍に入るほうなの?」すぐにヒロキへ向けられた。
「そりゃそうだろ。ヤなの?」
「イヤ……じゃ、ない、けど……」
「じゃ、どっち?」
落ち着かないようすでぱちぱちと瞬きをし、そのたびに視線が動くトモヤの目を見ながら、ヒロキは聞いた。
「おれは……。ヒロと、一緒がいい」
「男のくせに、名字が変わったって言われても?」
「そしたら言ってやる! 愛する人の籍に入りましたって」
「ほんとに言えんの?」
ヒロキは意地悪な視線を下から向ける。
「言え……ない、かも……だけ、ど……。でも、……ヒロと、一緒がいい」
トモヤはヒロキの短い髪を、くるくると指に巻きつけながら、照れくさそうに言った。
頼りなさげで、でも、真っ直ぐな目をしたトモヤの言葉に、ヒロキの口元が緩む。
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