プロローグ

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プロローグ

 理想という言葉を辞書で調べると、『行動、性質、状態などに関して、考え得る、最高の状態』と出てくる。  そして、理想郷という言葉を辞書で調べると、『理想的で完璧な社会』と出てくる。  僕たちが今生きている、この都市のように...。  全長600メートル、総重量5トンの外壁に覆われたこの都市は、「アルカディアシステム」という、都市型社会制御システムによって、管理、運営がされている。  人の意思が介在しないこのシステムによって、すべての産業が都市内で賄える社会政策を実現した。  それに加え、このシステムは、天災で経済的な打撃を受けないよう、気象を操ることも実現した。  それはもはや1つの国として、稼働している。  だから僕たち、アルカディアに住む「住民」は、何も疑わず、何も考えず、この都市を理想郷ととらえている。  その証拠に、いつしかこの都市は、システムの名前をそのまま引用して、「アルカディア」と、呼ばれるようになった...。
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