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episode③- final① ユリ
ユリの製作は深夜まで続いていた。
頭の中に広がる夜の海とユノのイメージ…。
作品のおおまかな完成は
もうすぐそこまできていた。
カチリ、と音がして
アトリエの扉がゆっくりと開く。
…妙ちゃん?
ユリが振り向こうとした瞬間、
誰かが後ろからユリの口を押さえながら
羽交い絞めにした。
「だっ…うぅぅ…」
そのまま後方に引っ張られ
床に倒される。
倒されたユリの体に馬乗りになったのは
見知らぬ男だった。
「悪いな…。あんたには恨みはないんだ」
男に左手で口を押さえられ、
ユリは声を出すことすらできない。
「もう陶芸はできなくなるように
あんたの右腕をつぶさせてもらいに
来たんだが…」
ユリの顔が恐怖でゆがむ。
男はユリの体をなめ回すように見ると、
「その前に…俺といいことしようか?」
男の右腕がユリのブラウスのボタンを
思いっきり引きちぎる。
(いや~~~っっ!!!!
やめて~~~~~!!!!)
声にならない声をあげ、
涙を浮かべながらユリは必死で抵抗した。
「ちっ!!大人しくしろ!!!」
苛立った男に顔を殴られ、
ユリは気を失った。
「上玉だぜ…」
男は舌なめずりをしながらブラウスを
脱がそうとした…。
突然、男は
後ろから首を掴まれた。
そのまま体をユリからゆっくりと引き剥がされる。
「ユリから離れろ…」
首を絞められた状態で、
男の体は宙に吊り上げられる。
「うぐぐ…や、やめてくれ…」
苦しそうに足をばたつかせる男。
男を片手で持ち上げているのはユノだった。
ユノはそのまま男の体を窓に向かって放り投げた。
男の体は窓ガラスを突き破り、裏庭に落ちる。
ば、化け物…!!
扉の影から一部始終を見ていた妙子は
床にへたりこむようにしゃがみこんだ。
に、逃げなければ…!!
床を這うように逃げ出そうとする妙子の前に
立ちはだかったのは…??
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