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Another side−①
ユノは気配を消したまま、大空を飛んだ。
飛びながら考える。
俺の羽根はなぜ色が変化していくんだ…?
「おまえ…その羽根、どうしたんだ?」
ユノの頭上からはっきりと声がした。
…ジェイ…!!
その瞬間、ユノの羽根めがけて、
上から斬りもみ状態で突っ込んでくる
黒い影…。
ユノは一瞬の動きでそれをかわすと、
空中で静止した。
ユノの前に同じように静止したのは…。
「探したよ…ユノ」
かつての仲間。
子供の頃から共に育った兄弟のような存在…。
けれど今は…
俺の最大級の敵…!
その名は…ジェイ。
さらさらとした金色の髪と
美しい紺碧の瞳。
しかし、それは何者よりも冷酷で残忍な色を
放っている。
ユノよりも更に華奢な身体に
つやつやと光る漆黒の羽根。
そして透けるような白い肌…。
なのに触れる者の皮膚を
一瞬で切り裂く鋭利な刃物のような男…。
美しき悪魔・ジェイ。
「追ってきても、無駄だぞジェイ。」
「何を考えてる…?ユノ。」
「もう戻らない。それだけだ」
「なぜなんだ?俺たち2人なら、
この世界の制覇なんて 簡単だったはず」
「制覇…?そんなもの、くそくらえだ」
ジェイは静かに剣を取り出す。
それはユノの背中を一瞬にして切り裂いた
あの剣…。
「殺してでも連れてこいって
言われてるんだろ、ジェイ」
ジェイのきれいな顔がぐっとゆがんだ。
「頼む、ユノ。俺と戻ってくれ」
「くどい!!」
突然ジェイがユノめがけて斬りかかってきた。
それをかわすユノ。
「おまえも剣を抜けよ、ユノ!!」
「断る!!」
ジェイから何度も振り下ろされる剣を
ユノはかわし続けた。
ジェイのわずかな隙をついて
羽根を横に素早くスライドさせる。
ジェイの左頬が切れ、青い血が流れた。
「もう追うな、ジェイ!!」
ひるんだジェイをその場に残し、
ユノは再び気配を消した。
「くそ…!!」
ユノを見失うジェイ。
「あきらめないぞ、俺は…ユノ!!
おまえは…俺のものだ!!」
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