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一生隠したままにしておこうね
湯船より、極楽浄土の雲を思わせる湯気がもうもうと立ち昇る。その中には少年・尋幸(ひろゆき)がひとり三角座りをして佇んでいた。その目線はちらりちらりと湯気に隠れながら頭を洗ういとこの姉・美澄(みすみ)をじーっと眺めていた。彼女はその目線に気づくことはない。
美澄はシャンプーをコンディショナーで濯ぎ落とし、風呂椅子の上にある桃のような尻をくるりと回し、湯船で佇む尋幸の方に振り向いた。
「背中、流してくれる?」
美澄にこう言われるも、尋幸は顔をぷいと背けてしまった。その顔は湯気にあてられたせいか、真っ赤に染まっていた。
「い、嫌だよ。大人なんだから自分で洗えよ」
美澄は尋幸に微笑みかけた。そっぽを向きながらその顔を見た尋幸の顔が益々真っ赤に染まっていく。尋幸の目線は美澄の錐体状で白磁の富士を思わせる乳房に向けられていた。その先端に付けられたピンクトルマリンを思わせる乳首が尋幸の目線を強制的に誘導させる。女の人のおっぱいはこんなに綺麗なものなのかと尋幸は感動を覚えるのであった。尋幸はこれまで母親の乳房しか見たことがなかった、神社の青銅の釣り鐘を思わせる垂れ下がった形に、黴が生えくすみきった小豆を思わせる乳首に、その回りに付随する乳輪も小豆に入った亀裂と同じようなヒビが入っていた。
自分が幼き時に喰んだものでありながら、母親の乳房は醜いものであると尋幸は考えるのであった。
しかし、今の目の前にいる美澄の乳房はそれとは違い美しいもの。尋幸はそっぽを向きながらも息を呑み、美澄の胸を眺めるのであった。その視線はやがて二つの美しい白磁の桃富士から下へと進み、鬱蒼としつつも三角形に切り揃えられた深緑の美しい森を思わせる美澄の陰毛へと移り行く。
すると、美澄は湯船の中でそっぽを向く尋幸の両肩を掴み、くるりと回転させ、それから流れるように両脇の下に手を回し、そのまま持ち上げた。少年の裸、筋肉も付ききらず申し訳程度の脂肪のついた棒を思わせる手足に、肋骨が浮き上がった胸部、まだ夕飯前でぺっこりとへこんだ下腹部、股間にぶら下がる男のシムボルも年齢相応に朝顔の蕾や茗荷を思わせるものであった。そんなものでも見られれば恥ずかしい。尋幸は股間を隠そうとするが両脇に美澄の両腕が挟まっているために手で隠せない。
「いいじゃない。昔はよく背中流してくれたでしょ? いいからいいから」
よいしょ。美澄は尋幸を湯船から重そうに持ち上げて自分の後ろに立たせ、ボディーソープを染み込ませて泡立つタオルを渡した。
「ほら、背中ゴシゴシやって」
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