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恋のお話⑤「君の誕生日その2」
今年も大切な記念日がやってこようとしている。
僕が世界で一番愛している人が
この世に生を受けた素晴らしい日…。
去年は小さな辞書を彼女にあげて
僕の気持ちを伝えるくらいしかできなかったけど
今年は最高のバースデーにしたい。
そのために
実は密かにこの1年貯金もしてきた。
食べることが大好きなあやさんに
最高のディナーを予約しようか…
いや…まてよ。
もっと高価な指輪をプレゼントするべきか。
いやいや、思い切って旅行もいいなぁ…
(ムフムフ)
本当はサプライズにするのがカッコいいんだろうけど
あやさんが欲しいものがあれば
やっぱりそれが最優先なわけだし
それならその希望に添いたいのもある(うふっ)
ここは…やっぱりあやさんに聞くことにするか。
「1つだけ欲しいものがあるの」
あやさんはそう言ってにっこりと笑った。
(かわいい…)
「何…ですか?」
「何だと思う?」
何だろう…あやさんがひとつだけ
欲しいものって…??
う~ん…と考えていた僕の鼻を
いきなりあやさんが人差し指でむにゅっと押した。
「ふぎゃ?!」
「これ」
「え…?」
「由野くんが欲しい」
え…
ええええええええっ!?
ぼ、ぼ、僕が欲しいって…
あの…その…(焦)
どんどん顔の温度が上昇しているのが
自分でもわかる(つまり、ゆでダコだ)
僕の顔を見ていたあやさんは、突然ハッとなると
僕と同じくらい顔を真っ赤にしながら
「ゆ、由野くんの時間をちょうだいって
ことだからねっ!!」
と、あわてて下を向いた。
ああああああ……ウルトラかわいい…!!!
かわいすぎる… 好き過ぎて死にそう…
でも具体的には特にないの…と言われ
僕は途方に暮れてしまった。
翌日…
かなり気は進まなかったが
僕は思い切って職場の例の女子たちに
相談してみることにした。
案の定、散々冷やかされ(とほほ)
(ヒューヒュー言われ、
尻を掴まれ… ←これは咲江さん限定)
「やっぱ由野、ハダカにリボンだろ」(奈美さん)
「え、どこにリボンつけるのぉ?」(乃利香)
「そりゃあ、由野のXXXXに…」(咲江さん)
「いやあああん、卑猥~」(里奈ちゃん)
…言うんじゃなかったよ(泣)
「…もういいです」
「ごめん、ごめん!拗ねるな由野」
奈美さんが笑いながら僕の頭をポンポンとたたく。
「オンナはね、由野。好きな男が
自分のために懸命に選んでくれたモノなら
なんだって嬉しいもんなんだよ」
「そう…なんですか?」
「プレゼントを頑張って探そうとする
そんなおまえが好きなのさ」
あやさんも…そう言うような気がしてきた。
(かなり単純)
「頑張んな、色男」
奈美さんは微笑むと、喫煙ルームに消えた。
さんざん好き勝手を言いながらも、
「何か身につけるものがいいんじゃね?」と
乃利香がアクセサリーの
セレクトショップを教えてくれた。
それは、手頃な価格でかわいい
アクセサリーが買えると評判の店で、
平日だというのに店内は
ほぼ100%女子でごった返していた。
さすがはおしゃれ番長・乃利香…
しかし…こんなところに
来るのは初めてだ…(うえ~~ん)
図体のデカい僕はかなり浮いた存在だったが(泣)
冷や汗をかきながらも、僕はあやさんに
プレゼントしようと思うものを見つけた。
それは、店の少し奥にある
新鋭作家さんのコーナーにあった。
作品のひとつひとつに
名前が付いているのがなんだか新鮮で…。
僕が選んだのは華奢な群青色のピアス。
色の白いあやさんに似合う…と思ったものあるけど
何より名前に惹かれたんだ。
「彩の雫」
あやさんと同じ名前の
そのピアスにしようと僕は決めた。
あやさん、喜んでくれるかな…
HAPPY BIRTHDAY あやさん
今年も大好きな君の誕生日をお祝いできて
僕はものすごく幸せです…
「後は、僕にリボンか…」 (おいおいおい)
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