恋のお話⑥「Valentine dayの前に」

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恋のお話⑥「Valentine dayの前に」

今週末はいよいよバレンタインデー、だ。 今年は日曜日だけど。 …ふふふ… ふふふふふふ… ←気持ち悪い 僕にとっては好都合…だもんね。 だってチョコが欲しい相手は1人だけだから。 (うんうん) あやさんは…何をくれるのかなぁ… もちろんチョコだけど、 もしかしたら、それだけじゃなくて…ムフムフ… 「何デレ~っとしてんだ、由野」 突然、咥えパイポの奈美さんに ノートで頭をポカっと叩かれる。 「痛っ… い、いえ…何でもないです」 「なんかやらしいこと考えてたでしょ、 チェリーボーイ」 咲江さんがお尻を掴むと見せかけて 僕の右胸をむんずと掴む。 「あぎゃっ!!」 「うるさい、由野!!」 奈美さんにまた一喝される(なんでぇ~…) 「す、すみません」 何で…僕が謝らなきゃならないんだぁぁ… それに僕はチェリーじゃ…ないぞ…! 「そうそう。由野っちはチェリーじゃないもんねぇ」 へへへ…と乃利香が意味深に笑う。 「な… 何…」 「バレンタインデーはチョコじゃなくて あやさんを食べたりして~」 「の、乃利香…!!」 「珍しい~由野センパイが怒ってるぅ~」 あああ…里奈ちゃんまで…(泣) 「なんか、やらしいこと考えてるだろ。 このエロチェリー」←咲江さん この、せ、セクハラ女子ども…!!! 「由野、校正上がったのか?さっさとしろよ」 こんな時、奈美さんは決して 助け舟を出してはくれない(とほほ…) 今日もまた僕の貞操(?)は 弄ばれてしまうのか… 「あ…でもあやさん出張でしょ?」 乃利香が思い出したように言った。 「え… 」 「キナリ編集部のコが言ってたもん。 温泉の取材で今日から日曜日まで 茶見くんと出張だって」 な、なんだとぅ~~~~!!! 「茶見って、あのジャニーズ顔のイケメンか~ 由野、マジでピンチだな」 ニヤニヤする咲江さん。 「だっ…大丈夫です」 そうだよ。あやさんは僕一筋だもん(思わず赤面) 「どうだか。秘湯の取材で、 しかも2人きりで泊まりでしょ? あれだけのイケメンだしなぁ~」 秘湯… 2人だけで取材… 泊まり… 「由野っち? ちょっと…大丈夫??」 乃利香の声も僕にはまったく届いてはいなかった。 * * * * * * こんな状態の僕がサクサク仕事など できるハズもなく、やっぱり残業… オフィスには僕と奈美さんだけが残っていた。 「できたか?由野」 「あ… はい…」 奈美さんは僕から原稿を受け取ると 一通りチェックをしてから 机の上にポン!と置いた。 「今日はもう帰れ、由野」 「えっ…でも」 「使いモンにならないヤツを働かせるほど 会社は余裕ないんだよ」 あああ… この言葉は堪える… 「帰って、風呂入って寝ろ」 「はい…」 奈美さんはフっと笑うと 「なあ、由野」 「はい…」 「おまえはあやさんを信じられないのか?」 「い、いえ…そんな…ことは」 「おまえだって今、この部屋に あたしと2人きりだぞ」 「あ…」 「今まであやさんがおまえのこと 疑ったりしたことあんのか?」 … そんなこと、一度もない…。 いつもにこにこしていて、 自分も忙しいのに僕の仕事の相談にのってくれて 落ち込んでいる時でもあやさんと話すと 心が軽くなって、 一緒にご飯を食べるだけで楽しくて… あやさんが僕を疑ったり 酷いことを言ったりしたことなんて 1度だってない…。 …僕はどうしようもなく小さい人間だ…(しょぼん) 「心配なら連絡入れてみな」 「そうしてみます…」 「これの直しは最後のとこだけだからやっとく。 心配すんな」 「ありがとう…ごさいます」 「お疲れさん」 奈美さんは手を上げると、 PCに向かって原稿の直しを始めた。 この人には…本当に頭が上がらない。 * * * * * * 会社を出て携帯を取り出すと あやさんからLINEが入っていた。 『仕事で温泉に取材に来てるの。すっごくいい所! 今度、一緒に行かない?(きゃっ)』 添付された写真は 山あいの景色がきれいな露天風呂の写真… 『あやさんと一緒に行きたいです』 そう打ったら 『近いうちに計画しようね~^^  日曜日の午後には戻るから由野くんちに寄るね』 と返信がかえってきた。 あやさん… 大好き…です(照) あれ… でも、一緒に行くってことは… 露天風呂で…混浴… そしてお泊り… あ、あわわわわわわ……  ←やらしい想像 …ん? なんか鼻のあたりがあったかい…   あっ… あれっ…(焦る) この寒空の下 あらぬ想像しただけでのぼせた僕は 鼻血を出していたわけで…(中学生かっ!!) やっぱ…エロチェリーかも。(泣) こうして僕のバレンタインデーイブイブの 夜は更けていくのであった…。
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