4人が本棚に入れています
本棚に追加
恋のお話⑥「Valentine dayの前に」
今週末はいよいよバレンタインデー、だ。
今年は日曜日だけど。
…ふふふ… ふふふふふふ… ←気持ち悪い
僕にとっては好都合…だもんね。
だってチョコが欲しい相手は1人だけだから。
(うんうん)
あやさんは…何をくれるのかなぁ…
もちろんチョコだけど、
もしかしたら、それだけじゃなくて…ムフムフ…
「何デレ~っとしてんだ、由野」
突然、咥えパイポの奈美さんに
ノートで頭をポカっと叩かれる。
「痛っ… い、いえ…何でもないです」
「なんかやらしいこと考えてたでしょ、
チェリーボーイ」
咲江さんがお尻を掴むと見せかけて
僕の右胸をむんずと掴む。
「あぎゃっ!!」
「うるさい、由野!!」
奈美さんにまた一喝される(なんでぇ~…)
「す、すみません」
何で…僕が謝らなきゃならないんだぁぁ…
それに僕はチェリーじゃ…ないぞ…!
「そうそう。由野っちはチェリーじゃないもんねぇ」
へへへ…と乃利香が意味深に笑う。
「な… 何…」
「バレンタインデーはチョコじゃなくて
あやさんを食べたりして~」
「の、乃利香…!!」
「珍しい~由野センパイが怒ってるぅ~」
あああ…里奈ちゃんまで…(泣)
「なんか、やらしいこと考えてるだろ。
このエロチェリー」←咲江さん
この、せ、セクハラ女子ども…!!!
「由野、校正上がったのか?さっさとしろよ」
こんな時、奈美さんは決して
助け舟を出してはくれない(とほほ…)
今日もまた僕の貞操(?)は
弄ばれてしまうのか…
「あ…でもあやさん出張でしょ?」
乃利香が思い出したように言った。
「え… 」
「キナリ編集部のコが言ってたもん。
温泉の取材で今日から日曜日まで
茶見くんと出張だって」
な、なんだとぅ~~~~!!!
「茶見って、あのジャニーズ顔のイケメンか~
由野、マジでピンチだな」
ニヤニヤする咲江さん。
「だっ…大丈夫です」
そうだよ。あやさんは僕一筋だもん(思わず赤面)
「どうだか。秘湯の取材で、
しかも2人きりで泊まりでしょ?
あれだけのイケメンだしなぁ~」
秘湯… 2人だけで取材… 泊まり…
「由野っち? ちょっと…大丈夫??」
乃利香の声も僕にはまったく届いてはいなかった。
* * * * * *
こんな状態の僕がサクサク仕事など
できるハズもなく、やっぱり残業…
オフィスには僕と奈美さんだけが残っていた。
「できたか?由野」
「あ… はい…」
奈美さんは僕から原稿を受け取ると
一通りチェックをしてから
机の上にポン!と置いた。
「今日はもう帰れ、由野」
「えっ…でも」
「使いモンにならないヤツを働かせるほど
会社は余裕ないんだよ」
あああ… この言葉は堪える…
「帰って、風呂入って寝ろ」
「はい…」
奈美さんはフっと笑うと
「なあ、由野」
「はい…」
「おまえはあやさんを信じられないのか?」
「い、いえ…そんな…ことは」
「おまえだって今、この部屋に
あたしと2人きりだぞ」
「あ…」
「今まであやさんがおまえのこと
疑ったりしたことあんのか?」
… そんなこと、一度もない…。
いつもにこにこしていて、
自分も忙しいのに僕の仕事の相談にのってくれて
落ち込んでいる時でもあやさんと話すと
心が軽くなって、
一緒にご飯を食べるだけで楽しくて…
あやさんが僕を疑ったり
酷いことを言ったりしたことなんて
1度だってない…。
…僕はどうしようもなく小さい人間だ…(しょぼん)
「心配なら連絡入れてみな」
「そうしてみます…」
「これの直しは最後のとこだけだからやっとく。
心配すんな」
「ありがとう…ごさいます」
「お疲れさん」
奈美さんは手を上げると、
PCに向かって原稿の直しを始めた。
この人には…本当に頭が上がらない。
* * * * * *
会社を出て携帯を取り出すと
あやさんからLINEが入っていた。
『仕事で温泉に取材に来てるの。すっごくいい所!
今度、一緒に行かない?(きゃっ)』
添付された写真は
山あいの景色がきれいな露天風呂の写真…
『あやさんと一緒に行きたいです』
そう打ったら
『近いうちに計画しようね~^^
日曜日の午後には戻るから由野くんちに寄るね』
と返信がかえってきた。
あやさん… 大好き…です(照)
あれ… でも、一緒に行くってことは…
露天風呂で…混浴… そしてお泊り…
あ、あわわわわわわ…… ←やらしい想像
…ん? なんか鼻のあたりがあったかい…
あっ… あれっ…(焦る)
この寒空の下
あらぬ想像しただけでのぼせた僕は
鼻血を出していたわけで…(中学生かっ!!)
やっぱ…エロチェリーかも。(泣)
こうして僕のバレンタインデーイブイブの
夜は更けていくのであった…。
最初のコメントを投稿しよう!