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恋のお話⑦「君の誕生日その3」
今年のこの大切な日は日曜日、だった。
毎年何をプレゼントしようかと
頭を悩ませる僕だったが
そのプレゼントのために
今朝は早い時間からあやさんを
ドライブに連れ出した。
「由野くん、この車どうしたの?」
「あ…奈美さんに借りたんです」
うちの男前上司でもある奈美さん(42歳・デスク)の車は濃紺の、これまた男前なRVの外車だった。
「なんか…すっごく高そうな車だね…」
黒の総革張りシートや豪華なインパネの造りに
さすがのあやさんもちょっと緊張気味に座っている。
「ひとりでトレッキングに行くのが趣味なんです、
奈美さん」
「なんか意外…」
「僕もそう…思います」
アウトドアと奈美さんはどう考えても結びつかない。
「タウン用の車は別にあるから貸してやるよ、由野。
その代わり、バシっと決めてこいよ」
「はい…!」
そう…なんだ。
今年こそ…決めてやるんだ(何を?)
明日は僕もあやさんもお休みをもらっている。
つまり…お泊りバースデードライブデートなわけで…(きゃっ ← ??)
車は都内を抜けて、次第に山や緑が多い
景色になっていく。
少し紅葉には早いけど、ところどころが
赤や黄色に色づく木々に
あやさんはきれ~い…と目を細めている。
いや…きれいなのはあやさんの方…です(ポッ)
「最近、あやさんキレイになったよね~」
そんな声を最近ちらほら聞くようになって
僕もすごく嬉しいんだ。
もしかしたら…僕を好きでいてくれることが
あやさんをこんなにもきれいにしているのかも…
(なんてな、なんてな~~~ えへえへえへ)
「ん? 由野くん、なんか言った?」
い、いかん…!!いつの間にか
鼻の下を思いっきり伸ばしていたよ(あわわ)
「な、なんでもないです」
「そう? でも…」
「??」
「由野くん、運転上手なのね^^
なんか…カッコいい」
ああああ…そんなにとろけるような
笑顔をしないでください(どきどきどき)
僕は生まれ変わっても
きっと何度でもあなたに恋をします(絶対に)
到着したのは、小高い丘の上のオーベルジュ。
遠くに海も見える絶好のロケーションだ。
こじんまりとはしているが
ここのディナーは絶品なんですよぉ~と
教えてくれたのは
後輩で5人の彼氏持ちの里奈ちゃんだった。
「お部屋も可愛くて盛り上がりますからぁ」
確かに通された部屋は2部屋続きで
奥のダブルベッドは真っ白な天蓋付きだった。
「うわあ~~!!かわいい~~~」
あやさんがホントにかわいい声をあげて喜ぶのを見て
僕は心の中で100回くらいガッツポーズをした。
でも… ダ、ダブルベッド…(どきどきどき…)
「あ、あやさん」
「ん?なあに??」
「夕飯まで…少し散歩…しましょうか?」
「うん!!」
オーベルジュから少し歩いたところに
小さな滝があるから、そこでマイナスイオンを
浴びて来い、とアドバイスしてくれたのは
なんとセンパイ社員の咲江さんだった(意外…)
「あたしも旅行くらいするんだよ、失礼な」
そう言ってお尻をむんずと掴まれたけど(泣)
「アレは夜までのお楽しみ、だろ?」
あああ…エロじじい…
(すみません。ばばあの間違いでした)
そして、同僚の乃利香が僕にくれたのは
ベルベットの真紅のリボン。
「由野っち、これが仕上げだからね」
「うん。」
「どこに使うかは… わかってるよね?」
僕は神妙な面持ちで頷いてみせた。
そう…これは僕のために
フラワーエッグ編集部の
オール女子プレゼンツによるプランだったのだ。
小さな滝にたどりついた僕たちは
写真を撮ったり色々話したりしながら
それは楽しい時間を過ごした。
ディナーも想像以上のすばらしさで
山の幸を中心にした創作フレンチを
お箸でいただくというもの。
美味しいワインと共にずんずんと進んでいき…
デザートのお皿とシャンパンは
部屋に運んでもらうことにした。
「テラスで食べましょうか…?」
これも計画のひとつだった。
「ステキ~!星空の下で食べるのね」
少し頬をばら色に染めたあやさんは本当にきれいで
僕は抱きしめたくなる衝動を抑えるのに必死だった。
テラスのテーブルを二人で囲むようにして座り、
シャンパングラスを軽く合わせた後、
僕はポケットから真紅のリボンを取り出した。
「あやさん…」
「なあに?由野くん」
「今年のプレゼントですけど…」
「うん…」
「僕…です」
「え…?」
僕は真紅のリボンを
あやさんの手のひらにそっとのせる。
「自分では上手く結べないから、
あやさんが結んでくれませんか?」
僕はそう言って両手をあやさんの前に差し出した。
あやさんはリボンと僕の手とを
しばらく見つめていたが
にっこり微笑むと、
リボンを手首にではなく僕の首にするりと巻いた。
「あれ…」
そう言ってるうちにそのリボンの
両端をぐいっと引き寄せられて
あやさんの唇が僕の唇にふわりと降りてきた。
「!!!!」
「これ以上のプレゼントはないかも」
なんだか… 僕がプレゼントを
もらっちゃったみたいだ…
僕たちはその赤いリボンに繋がれるように
何度も何度もキスをした…
* * * * * *
「由野、ホントにつけたかな?リボン…」(咲江)
「そこは由野っちも大人だし、わかってますよ~」(乃利香)
「でもXXXXにリボンは、エグくね?」(咲江)
「でもぅ、かえって燃え上がるかもしれないしぃ~」(里奈)
「おおっ 言うねえ、里奈!!」(咲江・乃利香)
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