恋のお話②「君と一緒にいたい」

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恋のお話②「君と一緒にいたい」

僕は出版社に勤める27歳のメガネ男子、だ。 辞書制作にたずさわることが 僕の最大級の夢…だったはずが 最近の僕には別の夢がある(照) それは… 「由野く~~ん!!」 通りの反対側からあのかわいい声が聞こえる。 「お、おはようございます、あやさん」 「おはよ~今日もいい天気だね」 これが僕の彼女、あやさん (生活スタイル雑誌・キナリ編集部所属)だ。 声も顔も性格もかわいいあやさんが どうして僕を好きになってくれたのかは 今もナゾだが、 僕の夢は…その…あやさんと… 「由野くん?どうしたの??」 あやさんに話しかけられて思わずハッと我に返る。 い、いかん…また僕はぶつぶつと 独り言を言ってたようで…(恥) 「あ、あの…あやさん…」 話しかけようとしたその時、 後ろからいきなり声がした。 「おはようございます、あやさん」 振り返ると 僕より更に背の高いおおきな瞳の さわやかなイケメンが立っていた。 「茶見(ちゃみ)くん、今日は早いわね~」 茶見…?? 「今日は大事なプレゼンですし、準備があるんで」 そう言いながらイケメン(茶見…だっけ?)は あやさんの横に並んでしまった。(ちっ…) 「あ…由野くん、こちらは茶見くん。 うちの部に転属になったの」 「どうも…」←茶見 「はじめまして」←僕 「こちらは由野くん。 エッグフラワー編集部にいるの」 「ああ…あのギャル雑誌の…」 へえ~…という顔のイケメン・茶見に 少しムカっ腹が立つ。 「それよりあやさん、急ぎましょう。準備もあるし」 「そうね。じゃあ、由野くんまたね~」 茶見にうながされるまま あやさんは僕に手を振ると、先に行ってしまった。 一緒に行きかけた茶見は ふっと僕の方を見ると ニヤリと笑って頭を下げていった。 …な、なんなんだぁ~~~~ あいつぅ~~~~~!!! それからしばらくはあやさんと なかなか会えなかった。 新しい企画で、てんてこ舞いのあやさんは いつも出かけていて 僕は辞書制作部に足を運んでも、 キナリ編集部にはいなかった。 たまに会社に戻るあやさんを 偶然見かけることがあったが なぜかいつも、あの茶見と一緒だった。 (当たり前か…同じ部署だし) 僕はすごく胸の中がモヤモヤとして あやさんに話しかけられず… メールやLINEでやり取りはしていたけれど 1ヶ月近くあやさんと直接話すことはできなかった。 そして、仕事が一段落したあやさんと やっと晩御飯を一緒に食べれることになり… 僕はあやさんに話す「決意」とその「証」を ポケットに入れて約束のスペインバルに足を運んだ。 本当は…もっと高級な店で…とも思ったけど、 初めてあやさんと食事をした店で 僕の思いを話したかったのもあったんだ。 約束の時間の少し前に行くと あやさんはもう来ていた…が あやさんの隣になんとあの茶見が 座っているではないか!!!! な…なんで…こんな日に限ってコイツが… 「帰る時にちょうど茶見くんと一緒になってね~」 そんなこと…聞いてないよ、あやさん… 「茶見くん、うちに来る前は 辞書制作部にいたから、それでね…」 だからコイツと一緒なの?? 「か、帰り…ます」 「え…?由野くん?」 「よ、用事を…思い出したんで…」 それだけ言うのがせいいっぱいだった。 あやさんが僕の名前を呼ぶのが聞こえたけれど 僕は後ろを向くと 走ってその場を立ち去った。 その夜… 僕の携帯はずっと鳴っていたけれど 僕は出なかった。 なぜか涙が溢れて止まらなくて ベッドにもぐりこんで 僕はしばらく泣き続けた。 その次の日… 僕は人生で初めての「ズル休み」をした。 ご飯を食べたくもなかったし 大好きな辞書さえ見る気にもなれなかった。 僕の決意の「証」は 机の上に置き去りのままだった。 夕方… 玄関のチャイムが鳴った。 ドアスコープ越しに覗くと なんとあやさんが立っていた!!! ど、どうして僕の家を知ってるんだろう… (あわわ…) 「由野くん…いないの??」 あやさんの声がする。 「は、はい…」 思わず返事をしてしまった。(し、しまった) 「具合…悪いの?大丈夫??」 ドア越しに優しい声がする。 「だ、大丈夫…です」 「昨日は…ごめんね。私、 きっと悪いことしちゃったのよね?」 あやさんは…悪くない…です。 「なんで由野くんを傷つけてしまったのか、 それが知りたくて…」 …単なるやきもちです… 「ここ…開けてくれないかな…?」 どうしよう… 少し迷っていると 「由野くん…開けて…お願い…」 涙声のあやさんの声がする。 あやさんが…泣いてる…??? 僕はあわててドアを開けた。 そこにはポロポロと涙をこぼしながら あやさんが立ち尽くしていた。 「由野くん…!!」 あやさんが僕の胸に飛び込んでくる。 「ごめんね、ごめんね…」 この人はなんて心優しいんだろう… 理由もわからないうちから こんなに謝って… やっぱり…僕はあやさんが… 思わずぎゅっと抱きしめる。 「由野くん…私を許してくれるの?」 「許すなんて…」 「もう会ってくれないかと思ったら、 昨日は眠れなくて…」 思わずあやさんの顔を見たら あやさんの目は真っ赤に充血していた。 やっぱり、話そう…!!! 「あやさん…は、話があるんです」 僕はあやさんを部屋に入れた。 ソファに座ってもらい、 コーヒーを入れて運ぶ。 「ありがと…」 僕からカップを受け取ると あやさんは美味しそうにコーヒーを飲んだ。 「由野くん…話って…??」 「は、はい…」 まさか寝巻きのスエット姿で こんな話をすることになるとは…(とほほ) それでも僕は姿勢を正し、 あやさんの方を向いた。 「あやさん…」 「はい…」 あやさんがかすかに緊張するのがわかる。 「僕と…け、結婚を… 考えてくれませんか?」 「え…??」 あやさんのつぶらな瞳が 2倍の大きさになるのがわかる。 「すぐに…とは言えないけれど…」 あやさんの瞳からぽろぽろと涙がこぼれる。 「わ…私なんかで…いいの??」 「はい…」 「私…由野くんより年上だし」 「はい」 「鈍感でオトコ心なんかわかんない おっさん女子だし」 「そ…そんなことないです!!」 「お酒も大好きだし」 「ぼ…僕も少しは飲めます!!」 「たいして美人でもない平凡な…」 「あやさんは最高にきれいです!!」 思わず大きな声で言ってしまった…。 あやさんの顔がかぁ~っと赤くなる。 「あやさんがいるから、僕がここにいられるんです」 「え…」 「あやさんがいなければ、僕の存在は ないのも同じなんです!!」 「由野くん…」 「だから…」 僕はテーブルの上にあった小さな箱を あやさんに差し出した。 僕から受け取ったあやさんは、そっとそれを開く。 中には小さな青い石のついたリング…。 「私がブルームーンストーンを好きだって… どうして…?」 再びあやさんの目に涙があふれる。 「あやさんが話してくれたから…」 「え…?」 「あやさんは忘れたかもしれないけど… あやさんが言ったことは全部僕は忘れないから…」 涙顔のあやさんが僕の胸に飛び込んでくる。 「由野くん…嬉しい…」 「あやさん…」 「私を…由野くんのお嫁さんにして」 ゆ、夢のようだぁ… あ… あれ… また鼻血が…(や、ヤバい!!) あやさんを抱きしめながらも この顔は見せられないし、どうしよう…と 途方に暮れる僕なのだった…(うえ~~~ん)
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