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恋のお話③「君の誕生日」
僕は出版社に勤める27歳のメガネ男子だ。
趣味は「辞書読書」(えへへ)
夢はその大好きな辞書の制作に携わることだ。
そんなI LOVE辞書な僕だが、
こんな僕にも最高の恋人がいる。
僕の最愛の人は…
かわいくて、控え目で、明るくて、
優しくて、おしゃれで、お酒が大好きで、
ちょっぴりおっさん女子な
(あ…これはあやさんが自分で言ったのだ)
あやさん(ライフスタイル雑誌『キナリ』所属)だ。
そして…今日は
大好きなあやさんの誕生日。
あやさんと恋人同士になってから
初めて2人でお祝いする大切な日…。
僕はせっかくだから
うんと高級なレストランで
うんと美味しい(でも高い)料理を…と思ったのだが
「それじゃあ私たちらしくないわ、由野くん」
と笑うあやさんの提案で、
僕たちの初デートの場所、いつものスペインバルでの
食事になってしまった。
さりげなく僕のお財布の中身を心配してくれる
優しいあやさん。(ますます好きになってしまう〜)
せめてバースデーケーキは…と
お店には頼んではあるものの、
変わり映えしない感はぬぐえない(うぅ…)
それじゃあ、プレゼントの方を頑張ろう…!!
そう思った僕なのだが…
この前の「告白」で
あやさんが好きなブルームーンストーンの指輪は
贈ってしまったし、
(これはあやさんの華奢な左手の薬指に
しっかりおさまっている)
あやさんにいったい何をプレゼントしたらいいのか
まったくといっていいほど僕は思いつかず…
何か欲しいものは?とあやさんに聞いても
「う~ん…そうだなぁ… 由野くんかな」
なんて、かわいい答えしか返ってこないのだ
(デレデレ)
ずっとずっと悩み続けて
それでも思いつかないまま時は過ぎていき…
僕はようやく、あるモノを準備した。
「あ、あやさん…お誕生日
おめでとうございます…」
「ありがとう、由野くん。」
あやさんの大好きなシャンパンで乾杯する。
白いワンピースを着たあやさんは
天使のようにかわいらしくて美しい。(うっとり)
カジュアルだが美味しい料理と
僕を包み込むようなあやさんの愛しい存在…
あやさんと一緒にいると
どうしてこんなに時間はあっという間に
過ぎていくんだろう…。
お店に頼んでおいたバースデーケーキに
目を輝かせたあやさんに向かって、
僕はかばんから小さめの箱を取り出し、渡した。
「あやさん…これ…僕からのプレゼントです」
「ありがとう、由野くん!!…開けていい?」
「はい…」
箱にかかったピンク色のリボンをほどき、
箱のふたを開けたあやさんは
「これは…辞書?」
「はい…」
それは小ぶりの小さな国語辞典。
「由野くんが選んでくれたのね。
この大きさ、使いやすそう~」
にっこりと笑ったあやさんは、
その辞書にしおりが何枚か挟まっているのに気づく。
「あら…しおりが…」
「えっと…その番号順に…あの…辞書を開いてみてください」
「番号順にね…?」
あやさんはおもしろそうに①と書いてある
しおりのページを開いた。
①「ずっと」
文字に蛍光ペンでマーカー。
続いて②、③…とあやさんはページを開いていく。
②「君を」
③「永遠に」
④「愛する」
あやさんはその辞書をそっと閉じると、
そのまま黙って下を向いた。
「あや…さん?」
あ、あれ…気にいらなかったかな…??(焦る)
確かに…あまりおしゃれでもかわいいモノでもない。
僕はどきどきしながらあやさんを見つめていた。
すると…
下を向いたあやさんの瞳から
ぽろぽろと涙がこぼれて
ワンピースの裾を濡らしていくではないか…!!
な、なんで泣いているんだ?あやさん…(不安)
やがて…あやさんは顔を上げた。
「由野くん…こんなにステキなプレゼントは
初めてよ…」
「あやさん…」
「私と…ずっと一緒にいてくれる?由野くん…」
「も、もちろんです!!」
辞書ごとあやさんが僕の胸に飛び込んでくる。
僕はその愛しい小さな体をぎゅっと抱きしめた。
あやさん…
僕とずっと一緒にいてくださいね。
こんなへなちょこ男子の僕ですけど
あやさんを想う気持ちは…誰にも負けませんから
Happy Birthday☆あやさん…
これからも変わらずに
愛していきます…!!
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