ハクロー様の白い嫁

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ハクロー様、と声を張り上げたのはおみよだった。 「ハクロー様への捧げものは、この私でございます。祭壇にいるそこな娘は、白粉で隠してはおりますがでございます。どうか私一人をお納めください」 おみよは、おたねを醜女と呼ぶ事に胸を痛めたが、今はそのような些末な事を気にしている場合ではないと、ハクローに頭を下げる。 「村で一番美しく、若く、生娘であるのは、このみよでございます。あれは醜女のおたねです」 どうかおたねだけは助けてください、と胸の内で何度も何度も願った。 「おみよちゃん、何を言うんね? おみよちゃんは駄目じゃ、駄目じゃ、駄目じゃ!! ハクロー様お願いします。おらを連れてってくだせえ」 おたねも、おみよを助けたい一心でハクローに頭を下げる。 それにハクローは、ふん、と鼻を鳴らした。 「どちらでも良いが、そうだのう……。心の綺麗な方を連れて行く」 その言葉に項垂れたのはおみよの方だった。心の綺麗さではきっとおたねに勝てない。 これでおたねがハクロー様に連れて行かれてしまうのか、と申し訳なさに涙を流す。 「ふん、決まりだな」 そう言ってハクローは白い顔の娘に近寄った。
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