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 それでも授業は受けなきゃいけない。しかも次の授業は、よりによって門から一番遠い大講義室だ。荒れた気分のまま講義室に急いだ。  授業は半分近く終わっているけど、欠席するよりマシだろう。  息も切れ切れ、講義室前に到着すると一番後ろのドアから静かに中に入った。  その直後、「今入って来た君、何時だと思っている」とマイク越しの声が室内に響いた。どきりとして前を見やると黒板の前に立つ教授がこちらを睨んでいた。  僕は「すいません!」と腰を折って、近くの空席に座った。 「やる気がない人は来なくて結構だ。出ていきなさい。早く!」  教授のしかめっ面が僕に向けられる。それに釣られたように僕の周囲に座る学生も野次馬的視線を向けてくる。  それは波紋のように瞬時に広がっていった。  あっと言う間にほぼ満員の講義室でほとんどの学生が僕を見ていた。中には友達と何やら話しながら嗤っているやつもいた。  視線、視線、視線。  四方八方からの悪意の視線は僕の弱り切った心を押し潰した。  急に目の前の景色がここではないどこかのように見えた。まるでテレビでも見ているみたいだ。そして音はすべてが湾曲して聞こえて気持ち悪い。  鼓動が激しくなるのを感じる。息も苦しい。  どうして……?  どうして、僕がこんな目に会わなければならない? 本当なら今ごろ石山と楽しい大学生活を送っているはずだったのに。今までの我慢はなんだったんだ……?  その時、僕の中で何かが崩れる音がした。  講義室を飛び出すとそのまま帰りの電車に飛び乗った。  アパートに戻ると手も洗わずに布団に突っ伏した。涙が次から次へと溢れてくる。
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