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この先の人生もこんなことばかりだろう。僕は特別な人間ではないんだ。僕が見下していたやつらと同じ凡人なんだ。いや、それどころか友達が一人もおらず、何か自慢できる才能や特技があるわけでもない。夢だってない。そんな僕は凡人以下なんだ。
僕は特別な人間になるために生きてきた。でもそれが絶望的だと分かった今、僕には生きる意味がない。
そうだ、死のう。
そして来世に期待しよう。その方がよっぽど賢明だ。
その日、僕は死ぬことを決めた。
決行日は一ヶ月半後の九月八日。僕の誕生日で僕が大人になる日。
気がつくと布団に涙の模様ができていた。こんなに泣いたのはいつ以来だろう。しかし、おかげで少し気分が落ち着いてきた。
しゃくりあげながら、ティッシュで泣きはらした目を拭った。目の周りがヒリヒリする。
僕は布団に仰向けに寝転がった。天井の木目をぼーっと見ていると、ふとあることを思いついた。
——残された日々を有意義に過ごすために計画を立てよう。
僕は起き上がるとリュックの中からルーズリーフを一枚出した。そこに死ぬまでにやりたいことを書き出すのだ。
一番はじめに『大学に行かない』と書いて筆が止まった。
いきなりの思いつきで始めたが「死ぬまでにやりたいこと」なんてそう簡単に思いつかない。
僕は死ぬまでに何をしたいのだろう……。
今までの人生で我慢していたことやいつかやってみたいと思っていたことを振り返ってみる。
そうして頭をひねって出した〈やりたいこと〉を箇条書きでリストに追加していく。
三時間ほどかけて百個の〈やりたいこと〉が紙の上に並んだ。
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