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 それらを処理することが登校してからの日課になっていた。タチが悪いのが直接暴力を加える行為をしなかったことだ。落書きや無視など精神的な攻撃ばかりで、児童総お友達説を信じる教師たちは誰一人として気がつかなかった。たとえ気づいたとしても気づかないふりをしていたに違いない。その分余計な仕事が増えるんだから。  幸い卒業まであと半年だ。それに僕の通うことになる中学校は二小一中、つまり二つの小学校の生徒が一つの中学校に通うことになっている。  単純に考えてクラスの半分は知らないやつが占める計算になる。そうなると現状を知る者も半分になるということだ。僕に対するいじめもほとぼりがさめるはずだ。  それにもう中学生になるんだ。こんな子供じみた馬鹿げたことはしなくなるだろう。  あと半年の我慢。  僕は、その言葉を心の中で何度も繰り返しクラスメイトからの悪意に耐えた。  そして待ちに待った中学生になった僕は、予想が外れたことを身をもって知ることになった。  相変わらず僕へのいじめがなくならなかったのだ。  少しは大人びるだろうと思っていたクラスメイトたちは、まったくそんなそぶりを見せることがなかった。むしろ、変に知識と体力をつけたせいで、いたずらに拍車がかかり校内の治安が一気に悪くなった。月に一度は窓ガラスか蛍光灯が割られ、授業中には物が飛び交った。  そんな劣悪な環境にいなければならないことが耐え難かった。  その頃になると僕は自分の住んでいる地域が悪いのではないかと考え始めていた。この町は程度が低い人間が住まう場所で僕の居場所はここではないと。
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