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だから僕はここでもほとんど周りの人間と交わらなかった。孤高を貫いたのだ。
二年生に進級したとき、そんな僕にも一人だけ話しかけてくるやつが現れた。そいつは石山基樹という男子生徒だった。
ボサボサに伸びきった髪に黒縁の眼鏡という出で立ちの彼は、その地味な見た目に反してよく喋る男だった。
始業式の日、出席番号順に並べられた席に座っていると、後ろの席だった石山に声をかけられた。
僕は友達を作る気はさらさらなかったから、適当に挨拶をして会話を打ち切ろうとした。それなのに石山は強引に会話を続けた。
無視するのも感じが悪いので彼の話に相槌だけうって聞いていた。
なんとなくそんな関係がしばらく続くうち、僕の隣には石山がいることが普通になっていた。
僕は彼を友達と認めることにした。石山は他のクラスメイトとは違い知性と教養を備えていたからだ。
周りが昨日のバラエティ番組の話や誰と誰が付き合っているなどの下世話な話をしているなか、僕と石山は時事問題や人生論について語りあった。
特に将来の話をするのが好きだった。僕が将来特別な人間になるんだというたびに石山は「天原ならなれるよ」と頷きながらいってくれた。
今から思うと本当に可愛げのない子供だと思う。でも、当時はそんな議論をしているのが楽しかった。
ある日の帰り道、僕は並んで歩く石山に他のクラスメイトと違い僕と仲良くするのはなぜかと尋ねた。
すると彼は「なんだよその質問」と吹き出した。
それから僕に向き直った。
「天原といたいからだよ。それだけじゃだめか?」
照れ臭そうにいう彼を見て僕は高校生になっても石山と一緒にいたいと思った。
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