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 高校が始まるとまたつまらない毎日がやってきた。  中学時代、馬鹿騒ぎしていた連中はいなくなった。クラスメイトは、ある程度の常識は備えている者が多かったのか、僕に対するいじめはなくなった。だからといって過ごしやすい環境になったかどうかは別だ。  休み時間のたび、中身のない、くだらない会話ばかりするクラスメイトたちにうんざりしていた。僕はまた話し相手をなくしてしまった。  それに、この頃になると僕は自分が特別な人間ではないのではないかと薄々気づき始めていた。それでもその疑念を振り払うように孤高を気取り、周りとは交わらなかった。  高校では失敗したが大学で逆転してやると心に誓い高校三年間の青春は勉強に捧げた。石山と同じ大学に行って彼とまた語り合うんだ。その時は酒でも飲みながら高校の同級生の馬鹿さ加減を話してやろう。  そして今、僕は関西の三流大学に通っている。僕は特別な人間ではなかったのだ。人生で一番楽しいであろう高校時代の青春を捧げたのにもかかわらず僕の学力では石山が目指す国立大学を受けることすらできなかった。  それでも関西の有名難関私立には合格するだろうと楽観的に捉えていたが、結果は散々なものだった。  結局、駆け込むようにして三流大学を受けた。合格通知を受け取ったとき、まったく喜びというものを感じなかった。   大学に通い始めてもちっとも楽しくなかった。周りは馬鹿ばっかりなのだから。そしてはたから見ると自分もその馬鹿の一人だということに嫌気がさした。  毎日のようにどこで間違えたのかと半生を振り返った。  子供の頃は、自分はすごい大人になると思っていた。
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