告白は続く

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告白は続く

「そしてだな、わしは見つけたんじゃよ」 「…何をですか⁉︎」 「ヘラが持っている『エルピス(予兆)』じゃ!こんなものがあるから何でもかんでも見透かされてたわけじゃ。それでな、なんとかかんとか捕まえて、パンドラの甕に入れておいたんじゃ。」 「ヘラ様の卓越された洞察力は『エルピス(予兆)』をもってらっしゃるからなんですね!」 「そうじゃ。ヘラなら予兆したところで長い長ーい未来がある。そして知恵もあるからなんとかわしの行動を食い止めようとするくらいですむが、短い一生の人間が予兆できたらどうなる?死しかないことに絶望するじゃろ。だからな、わしはこっそりとヘラからとった『エルピス(予兆)』を甕に入れたんじゃ…。」 「ではなぜ人間は絶望せず、未だに生きているのですか?」 「うむ、『エルピス(予兆)』も仕えるべきヘラから急に離されて不満じゃったんじゃろうな。パンドラが甕を開けたとき、他の災厄がみんな飛び出したにも関わらず、飛び出さずに甕に残ったんじゃ。」 「ヘラ様の『エルピス(予兆)』はゼウス様によってヘラ様から離されて、まだ甕に残ってらっしゃるんですね…」 「そうなんじゃよ。でもこれヘラには絶対内緒じゃよ。わしの逢引のためだけに『エルピス(予兆)』を引き離したなんて知ったらどうなることか!お主も神のはしくれなら絶対隠し通すのじゃぞ。」 いや、あなたの隠し事を一方的に共有されたのに???僕はまた適当な相槌を打つけど、少し心が軽くなったゼウス様はご機嫌で飲んでいて適当な相槌なんてどこ吹く風だ。
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