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屋上に繋がるドアを開けて僕は転がり込むように外に出た。
ビューッと風が吹いて目の下まである長い前髪がめくれ上がって一瞬視界が開ける。
僕は慌てて髪を下ろしてごろんと仰向けになった。
……寒い。
まだ17時前なのに空は雲に覆われているせいで中途半端な色をしている。
どうせなら灰色の雲に覆われて土砂降りにでもなってくれたらいいのに。
秋の空は青く澄んで綺麗だなんて……嘘だね。
僕の誕生日に相応しい曇りがかった晴れでも雨でも…むしろ、はっきり曇り!とも言い難い空。
ちょっと寒いその空気を纏って僕はのそりと起き上がった。
イメージしていたみたいにひょいっと柵を越えることなんてできずに柵を持ってぴょんっと飛んでみたけど足を思いっきりぶつけただけ。
……地味に痛い。
足をかけて乗り越えようとしたら…足はそんなところまで上がらない。
……うん。どうしようか。
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