君の好きな人は僕じゃない。

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君と初めて会ったのはいつだったか。 幼稚園の頃、僕が泣いていた君に声を掛けたのが最初だろうか。 それで、よく話すようになった。 君は弱虫で、すぐ怒って。 僕は君のそういう所が嫌いだ。 でも、君は誰よりも優しくて。 あの時泣いていたのは、幼稚園で飼っていたうさぎが死んじゃったから。 君は誰よりもうさぎと一緒にいて、誰よりもうさぎのことを可愛がっていた。 僕は生き物は苦手だから、君のように優しくなれない。 僕は君のことが好きだ。 でも、君は僕の隣の席の子が好きなのだろう? あいつは、僕と違って優秀で、頭も良いし。 クラスの人気者で、顔が整っている。 それに比べて僕は、地味で、成績も良くない。 君があいつをいつも見ているのは知っていた。 君に似合うのはあいつだと思う。 僕の頭が良ければ。 僕がもう少し人気者だったら… だから、君は友達だ。 ──それで、いいんだ。
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