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焼きそばパンは心を救う?
その日の夕方、私はベッドで横になりながらスマホをいじっていた。
そんな時、メールの着信が部屋に響くと思わず飛び起き、私は恐る恐るメールを開く。
それは先日面接を受けた企業からの物で、簡単に言えば不採用を告げる物だった。
今回こそは決まって欲しかった。
面接の感触は悪くなく、お試しで作業の一部もさせてもらったからこそ、そこで働きたかった。
しかし不景気の今は"健常者"でも仕事を見つけるのは至難の技で、私のような"ワケあり"の人間では更に困難を極める事は承知の上だった。
私は赤ん坊の頃から言葉を覚えるのが少し遅かったらしく、身体が成長しても他人ともうまく関われない。勉強も理解出来ない。運動も出来ないの無い無い尽くしだった。
それでも辛うじて高校には通えたが、友達らしい友達はロクに出来なかった。
高校を卒業後はフリーターとなり、いくつかの仕事を転々とする中、ある会社で働いていた私は自分自身に疑問を持つようになる。
自分は本当に正常なのかと。
その会社では軽作業を中心にをいろんな種類の作業を行なっていたが、得意なものと不得意なものの差が激しくて怒られてばかりだった。
精神的に追い詰められていた私は、本当の自分を知るために病院で検査を受けた。
診断結果は発達障害。
グレーに近いクロとの事だったが、仕事は続けられずに辞めざるを得なかった。
脳の一部の機能に障害がある事から起きるという発達障害も様々な症状があるようで、人付き合いが難しいタイプや、集中力が高くて単純作業に強いタイプなど色々らしい。
しばらくは現実に打ちのめされていたが、それでも仕事は見つけないといけなくて、主治医の先生からは紹介されたのは、就労移行支援の施設だった。
そこは私と同じように障害を持ちながら仕事を探す人達を支援する場所だが、一見するとどこに障害があるのか分からない人達も少なくなかった。
そんな人達とはそれなりにうまくやっていて、居心地も良かったが、就活は難航している。
こんな状態で本当に新しい居場所なんて見つかるのか。
自分は誰からも必要とされていないんじゃないか。
そんな事ばかり考える私の目からは涙があふれていた。
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