37 何も怖くない

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 気絶してしまったように体を預けてくる姫を、慌てて抱きかかえる。 「多分、寝ちまっただけだ。姫様は昨日ほとんど眠れていねぇから」  男に言われ、私は七瀬の方を見た。 「至急、叔母上に連絡を」 「もう連絡済みだ。清香もこっちへ向かっている。先代様の容態を見たいそうだ」  恭介が代わりに答え、のっそりと立ち上がりこちらへ近づいて来る。 「で、犬ってのは何だ? なかなか淫靡な響きじゃねぇか」  と、ぎろりと男を見た。
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